2012年9月
8月は1~2日札幌で公演リハーサル、2日夜東京に戻り、3~4日は大阪で公演本番、5日に再び札幌に戻って公演本番と目まぐるしい日々を過ごした。
8月4日NHKホール大阪で、大阪を拠点とするY・Sバレエカンパニー公演でバレエ「カルメン」を上演した。公演はダブルビルで「カルメン」は3年前に上演したものを改訂して再演した。このバレエ団は結成わずか5年あまりながらすでに「シンデレラ」「真夏の夜の夢」「ジゼル」と全幕物を、それも関西最高峰の劇場であるNHKホール大阪で上演を果たしている。私も毎年演出振付させていただいているがバレエ団の中心的存在の山本庸督君高井香織夫妻は大学の教え子で、ふたりは在学中にロミオとジュリエットのタイトルロールを踊り、そのままゴールインした素敵な経歴を持ち、卒業後もアメリカのバレエ団で活躍している。バレエ「カルメン」でもホセ役とミカエラ役を演じ、満員の観客から多くの拍手を受けた。毎年このバレエ団公演はバレエ団員や実力派の男性舞踊手ら若いアーティストたちと共に舞台づくり携わることが出来、有意義な時間を共有させていただいている。
札幌の公演は「ドリームオブダンサーズ」と題したもので私の公私にわたる恩師のひとりである久光孝夫先生の主催するバレエフェスティバルで、数年ぶりに振付作品を出品させていただいた。今回ここでも北海道在住の若いダンサーたちが私の作品に果敢に挑んでくれた。友人でもある気鋭男性ダンサーの石井竜一君が芯を務めてくれたのが嬉しかった。
中旬には日本バレエ協会「全国合同バレエの夕べ」という伝統ある公演が東京で行われ、そこで「真夏の夜の夢・結婚の場」を発表させてもらった。久しぶりの生オーケストラによる演奏でもあった。オーディションで選考した女性ダンサーとともに東京で活躍する後輩や友人である男性ダンサーを集結させて踊ってもらったことも楽しい思い出ともなった。この作品についてもいろいろな公演評をいただいた。国内のバレエ水準は国際的にもまだまだだが、公演評論水準も発展途上である。舞踊評論家やジャーナリストで親しい間柄の方は何人かおり、公私にわたってお付き合いさせていただいて学ばせていただいている。ただ端からみてお互い突っ込み合うのではなく、私情抜きで励ましたり支援し合うことが大事で、それがバレエ界の底上げにつながると信じている。