2013年9月
今年の8月は暑く感じることが多かった。暑いのは職業柄汗をかくことが多いので気にならないのだか、さすがにこれほど猛暑が続くと、周りの暑がる人の姿を目の当たりにしてこちらも以心伝心のように「もう、たまらない」と思うようになってしまう。
そんな天候のなか、念願の清里フィールドバレエ公演を観ることが出来た。親交深い今村博明先生と川口ゆり子先生ご夫妻のバレエ・シャンブルウエストによるジゼル全幕を拝見した。野外劇場ということもあり、上演中に本物の花火が打ち上げられ、また2幕のウィリーたちがホリゾントがないうしろ正面の下から本当に墓場から現れるように登場したりと演出が素晴らしかった。そんな中ラストでは本物の小雨がちらちら降り出してしまい、客席は合羽姿になり始め、それでも必死になって濡れた舞台にめげまいと踊るダンサーたちのその懸命な姿にも感動し、忘れられない鑑賞となった。ご夫妻の功績を称えずにはいられなかった。ぜひ来年も訪れたいと思う。
今年夏もっとも力を入れたY.S.バレエカンパニー公演「白鳥の湖」全幕公演を無事上演することができた。全幕振付といっても2幕と3幕の数曲はプティパ/イワノフ版を用い、バレエミストレスの岡林ひろみさんに振り移し・ステージングをしていただいたので完全なるオリジナルではないのだが、白鳥の湖を演出・振付をさせていただいたことは貴重な経験となった。
この作品はダンサーとして道化役で新国立劇場バレエ団、東京シティバレエ団、日本バレエ協会公演で数多く踊らせてもらい、そんな“道化の視点”からも作品づくりを行ったが、やはり春にフランス研修旅行で見聞した経験が大きかった。私自身グランドバレエに対しては徹底的にロマン主義を貫いており、そんな姿勢に毎回理解を示して臨んでくれるバレエ団のスタッフ、団員および男性ダンサーに深く感謝している。4幕のオデットの投身後の王子とロットバルトの闘い、そして原題の「Le Lac de Cygnets/白鳥の雛たちの湖」を重んじてゴールドバレエを主軸に置いた魅惑的なラストシーンを出演者が見事に踊り演じてくれて幕が下りた。
大阪芸術大学主催の音楽会であるプロムナードコンサートに、大学オーケストラや音楽バンドに交じって舞踊コース3回生21名も花のワルツをオーケストラを背に踊らせてもらった。なら100年ホールとう劇場で上演したがアリーナのように観客席が大きく、そこが満席になるほど多くの方々にお越しいただき、この日一番といえるほど大きな拍手をいただいた。それほどオーケストラとダンサーたちとが、また音楽と振付が一致して実を結んだ出来映えであった。