2013年10月
9月に入りながらまだまだ夏の季節感が漂い、また稽古場も蒸し暑くダンサーは相変わらず汗をたくさんかきながらのリハーサルが続く。
9月上旬の3日間で、大学舞踊コース4回生の卒業制作公演で上演する私の新作「ジャズコンチェルト」を振付をした。この音楽はハワード・ブルーベック作曲、レナード・バーンスタイン演奏のオーケストラ用のジャズ作品で、私の父がこよなく愛した音楽である。かつて私がローザンヌ国際バレエコンクールでプリ・ド・ローザンヌ受賞した際に記念公演をひらいてくれて、その時にも踊らせてくれた思い出深い作品である。そんな父のためにもこの音楽を使用したく、新しく振付をした。日程上、毎年卒業公演に私が4回生にブレゼントする作品は3日間で仕上げなくてはならず、とてもハードワークである。さすがに今年は重量感あるものだけに1日オーバーして4日間かかったが無事完成することが出来た。ダンサーたちの頑張りを労って稽古後の夜に天王寺界隈のお店で4回生全員と乾杯しながら夕食を共にした。なんとサブライズがあり、宴の終わりで私にバースデーケーキをプレゼントされてしまった。何だか気恥ずかしかったけれど、教え子の温かい感謝の気持ちが心にしみた夜でもあった。
9月中旬には振付家上田遥によるダンスリサイタル特別公演が東京・亀有リリオホールであり、久しぶりに彼の公演に出演させてもらった。彼は現代舞踊・バレエ・多ジャンルダンスといった幅広い分野の舞踊家として長く活躍されている私の兄貴分的存在で、ずっと親しくさせていただいている。まだ新人だった頃、高名な舞踊家でおられた横山はるひ先生の誘いを受けバレエ「ピノキオ」に主演した際にも(彼もまだ20代だったのにケペットじいさん役で)主要な役を分けあった懐かしい思い出もあり、普段はつねに踊りに対してとてもストイックな姿勢でダンサーに対しても厳しく稽古に挑んでいるのだか、今回の公演パンブレットでは当時の写真を掲載してくれた心優しい一面があり、あらためて感謝している。今回の公演でも東京シティバレエ団バレリーナの橘るみさんとデュエットを共演させていただいたが、私と彼女になんと新作を振付していただいてこちらもその誠意に感激し、精一杯踊らせていただいた。本公演は彼の舞踊家生活30周年記念でもあり、2回とも満席で大盛況であった。