2025年8月

今年も新国立劇場主催バレエアステラス2025が7月中旬に2日間にわたり開催された。毎年夏に海外で活躍される日本人バレエダンサーが里帰りして国内の最高峰のオペラハウスでこの1年自身の活動の成果を披露する場である。毎回合わせて海外バレエスクールも招聘されるのだが、今年は何とパリオペラ座バレエ学校を招いた。これまでさまざまなバレエ学校をお呼びしてきたがバレエの本家フランスから初めて招聘し、アステラス委員会メンバーを務める立場としてもとてもワクワクして新国立劇場内のバレエリハーサル室で劇場稽古開始前日の通し稽古を楽しみにしていた。当日は招聘アーティストたちのパドドゥのリハーサルを先行し、バレエ学校の生徒たちは夕方にリハーサル室に現れた。そして演目もブルノンヴィル振付「ナポリ」よりパドシスとタランテラで、これも自分が19歳の頃ニューヨークに留学し、アメリカンバレエ学校で初めてバレエ学校公演に出演した演目でもあり、当時の思い出が走馬灯のように思い起こされ、オペラ座バレエ学校の彼ら彼女たちと自分の姿が重なりとても懐かしく楽しく拝見させていただいた。中でも飛行機到着遅れの事情でリハーサル中にかつてのオペラ座のエトワール・名花エリザベット・プラテル校長が姿を見せたら稽古場は全員が起立して迎えられ、リハーサルは一気に白熱した。これまた自分は大学でバレエコースの主任の立場であり、生徒だけでなくプラテル校長や教師たちの指導ぶりもとても興味深く見入った。ニューヨーク時代もアメリカ人やフランス人、プエルトリコ人とさまざまな国の生徒たちがいて、こうして同じ光景を目の当たりにし、この日はとても実のある総見の日となった。翌日以降にオペラパレスにリハーサル場所を移し、そこでも客席から見守らせていただいたが日に日に生徒たちは上達し、そして本番では皆美しく弾け大きな拍手を受けていた。バレエ王国フランスの素晴らしき姿を見る絶好な機会となった。

 

その1週間後の7月下旬、今年もわが舞踊コースでかつてのボリショイバレエのスターで国立ジョージアバレエ団芸術監督であるニーナ・アナニアシヴィリ女史が来校し、2日間に渡り大学芸術劇場で特別講習会が開かれた。ニーナ女史とは1981年モスクワ国際バレエコンクールで同じ出場者として出会い、数年前に再会を果たし以来意気投合して毎年大阪芸術大学まで足を運んで下さっている。いつもエネルギッシュにパワフルに指導して下さり、すばらしい機会をいただいている。今年もまな弟子であるバレエ団のプリマバレリーナであるニーノ・サマダシヴィリさんを講習会に連れてきて下さり、特別授業後にバリエーションを披露していただいた。なお舞踊コース学生たちもバレエ「オペラ座の怪人」より“ポイント・オブ・ノーリターン“や「ラ・バヤデール」宮殿の場、バッハベル音楽「カノン」いずれも小生が振付した作品を併演して鑑賞していただいた。ニーナ女史とすっかり打ち溶けた間柄になり、隣りの席で「ジュウ、あなたの指導ぶりはとても共感するわ」と励ましの言葉を今回初めていただいた。帰りも自分が運転するリムジンカーに同乗して新大阪駅まで話しをしながら親交を温めさせていただいた。こうして今月は少年時代に過ごしたモスクワとニューヨークの思い出が重なる出来事が続いたのだった。

 

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