三島由紀夫生誕100年を記念した特別公演が11月中旬に東京オペラシティコンサートホールで上演された。フィリップ・グラス作曲「MISHIMA」を柳澤寿男マエストロによる生オーケストラとピアニスト滑川真希さん演奏で、バレエは東京バレエ団上野水香、牧阿佐美バレエ団青山季可、逸見智彦、京當侑一篭のいずれも一流アーティストの出演で、牧阿佐美バレエ団総監督三谷恭三先生より依頼され舞踊台本、振付を担当させていただいた。三谷恭三先生とは子どもの頃から長きにわたり親交があり、恩師牧阿佐美先生の夫君でとても優しくしていただいていた憧れの先輩男性バレエダンサーで、バレエ団のレパートリー作品である「飛鳥物語」で皇子を踊られた時の少年時代役を演じたこともあった。こうして今も繋がっていてうれしい。今回の三島由紀夫作品バレエ化にあたってフィリップ・グラスの3楽章からなる楽曲をそれぞれ「金閣寺」「鏡子の家」そして「豊穣の海」をモチーフに台本をつくり振付させていただいたが、上野水香さんとは25年以上前にローラン・プティ「ア・リタリエンヌ」という1幕もののバレエ作品で共演させていただいた間柄で、久しぶりに再会して当時の話しをしながらリハーサルをしてなつかしく、また青山季可さんも素晴らしきバレエ団プリマバレリーナで、何度も公演で活躍ぶりを拝見していたのでそんなアーティストと舞台づくりに関われ、また男性舞踊手ふたりとも旧知の中でとても有意義な時を過ごさせていただいた。本番はたくさんの観客が集まり、客席には音楽界や演劇界の方々も多く見られた。
ちょうど同じ時期に玉川大学芸術学部でも舞踊公演があり、今年もバレエ作品を依頼されビゼー音楽「アルルの女」を上演した。かつて堀内充バレエコレクション公演でも上演し、過去の良かった作品アンケートで1位に選ばれた作品でもあり、今回は15分程度の縮小版ではあったが、バレエ・舞踊学生12名が熱演し拍手喝采を受けた。この作品はダンサーだけでなく、舞台美術、衣裳、照明、音響とも全て舞踊学科学生の手によって制作されたのがどれも若々しく芸術的感性を存分に発揮していたし、特に舞台中央に飾られた1本の木があらかじめ振付家としてファン・ゴッホの絵画をヒントに出したのだが、それを上回るほどの独創性に富んだ色彩溢れたものがつくられ、作品に厚みを加えたことを特記させていただく。バレエ界では海外振付家を招聘し、美術家まで付随されていることが多く、そこで問題提起されるのがわが国の文化振興基金がその外国人スタッフの制作費に当てられることでとても残念なことである。今回のスタッフワークに尽力した若き日本人芸術学生に将来そんな環境を打破して活躍の場を与えてやりたい思いにかられたのであった。