2025年12月 その2

今年の冬はなかなかやって来なかったが、風邪だけは来そうな予感がして早めにインフルエンザ予防接種をした。また1年に40往復以上東京と関西を行き来しているので、バレエダンサーとしても教育者としても健康維持のために月に2回ぐらいのペースで病院に通いビタミン注射を接種し続けているが、失礼ながら予想的中というかインフルエンザが大流行してしまい、こちらは凌いでも大学の教え子たちもずいぶん苦しんだようだ。しかしアーティストは公演では穴を絶対にあけてはならないと日頃から言い聞かせているので、皆何とか頑張っていた。「風邪は踊って治す!」などといつも心で叫んでいる小生だが今のご時世、もちろん口には出せない言葉だとは百も承知である。昔は違ったんだけどな…。

 

日本バレエ協会に作品を委嘱されバレエ・クレアシオンと題した公演が12月上旬に彩の国さいたま芸術劇場大ホールであり、作曲家ジョージ・ガーシュウィンの名作ラプソディ・イン・ブルーをもとに「アメリカン・ラプソディ」と名付けて上演した。かつてニューヨークにあるアメリカンバレエ学校に3年間在学した身としてうってつけのバレエ作品だが、この公演のために協会はオーディションを開き、うれしいことに出演者全員をこのオーディションから選ばせてもらった。全員がそれぞれがさまざまなバレエ公演で活躍されたり大学でバレエを専攻されたダンサーで構成され新しい出会いがたくさん生まれた。リハーサルも全回レッスンから始めリハーサル内容も充実しアメリカンバレエに対する熱い気持ちで臨んでくれた。また今回は稽古場はユニークバレエシアターや新宿のスタジオでさせていただいたが、松山バレエ団総監督・清水哲太郎先生のご厚意で松山バレエ団で何度もリハーサルをさせていただいた。リハーサルでは森下洋子先生やバレエ団員からも激励を受け、清水哲太郎先生もリハーサルを見て下さりアドバイスをいただくことが出来た。ちょうどくるみ割り人形公演シーズンでもあり、大阪公演では毎年大阪芸術大学舞踊コース生全員で鑑賞させていただいているが、アメリカンラプソディメンバーも東京・府中公演を最前列で鑑賞させていただき公演に向けてすばらしい機会となった。公演当日は多くの観客が集まるなか清水先生はわざわざかけつけて下さりわれわれを見守って下さった。出番直前に奥舞台で他作品がカーテンコールを受けているなか全員が円陣となり、まるで決勝戦に挑むアスリートのように肩を組んで気勢をあげたがその姿が振付者として感慨深かった。本番は全てうまくいき、終演後拍手喝采を受けたことは言うまでもない。

 

師走も走り年末となった下旬に大阪芸術大学舞踊コース3回生学内公演が行われた。今年上演したのはバレエ「カルーセル/回転木馬 」で昨年大成功したバレエ「オペラ座の怪人」に続き名作ミュージカルのバレエ化にふたたび挑ませていただいた。音楽はロジャース・ハマースタインで1950年代から60年代にかけて大ヒットし、90年代半ばにロンドン、ニューヨーク、東京でリバイバル上演されふたたび大ヒットし話題となった。振付家がロイヤルバレエ団芸術監督の名匠ケネス・マクミランとあってわざわざニューヨークを訪れ鑑賞した思い出がある。音楽の旋律が甘味溢れ素晴らしくいつかバレエにしたいと思いを膨らませていたが、この度25年越しに念願であった新作バレエに着手することになった。約半年前から準備を始め、原作を読み直し改訂台本を書き、また音楽構成を再考案して大学音響コース中村康治教授に編曲をお願いし、舞台美術も同じく美術コース加藤登美子教授に依頼して美術学生を指導しながら回転木馬の舞台装置デザインと製作に着手し大掛かりなスタンバイとなった。また出演する舞踊コース3回生も本物の回転木馬であるメリーゴーランドを視察に何度か府内の遊園地を訪れ、パンフレット写真用に実際の衣裳を着て撮影するなど、公演に向けた準備には枚挙にいとまがなかった。また小生得意分野であるシンフォニックバレエをダイナミックにするため男性バレエダンサーを卒業生から1年生まで8名をキャスティングし、こちらも着々と公演に向けて作品を固めていった。出演側ダンサーたちは生き生きと稽古を積んでその姿勢が嬉しかったのだか、1幕40分ものとあって、場面づくりや転換、音楽の付け加えなど難敵なところが多く苦戦した。しかし題材や音楽、ダンサーたち全てが心地よく感じていたのでその瑞々しい美しき存在があって何度も立ち直り、今月半ばにようやく振付完了となった。劇場稽古に入ると照明学生が加わり、美術吊り込みも1日がかりとなった。こうして劇場稽古にも熱が入り、2日後本番を迎えた。ダンサーたちの真摯に立ち向かう姿勢が奏を功して本番は主役ビリー役の昨年度卒業生西川真幸、ジュディ役の3回生の広島出身の見世田舞らの熱演もあり拍手喝采となった。なおこの作品は来年2月に再演される予定なので内容については触れられず、興味深く感じられたらぜひ2月大阪芸術大学卒業舞踊公演にお越し下さい。皆さまのご来場お待ちしております。

 

今年も多くの振付作品を上演させていただきました。

○ラフマニノフ・ピアノコンチェルト第2番

○バレエ「オペラ座の怪人〜ファントムとクリスティーヌの愛の果て」

○「近つ飛鳥」より蛍たちの踊り

○ドビュッシー「小組曲」

○「ラ・バヤデール」より宮殿の場

○「夏町」より看護師たちの踊り

○バッヘルベル「Overture」

○「ロマンシング・フィールド」

○ヴィヴァルディ「Rosace」

○チャイコフスキー組曲

○バレエ「MISHIMA」

○アルルの女

○ガーシュウィン「American Rhapsody」

○バレエ「カルーセル・回転木馬/ビリーが誓うジュディへの永遠の愛」

計14作品他小品を上演させていただきました。踊ってくれたアーティストたちに感謝申し上げます。
来年2026年もよろしくお願い申し上げます。

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