2020年1月(2)
年明けに東京・渋谷のど真ん中にある文化総合センター大和田さくらホールで堀内版「くるみ割り人形(全幕)」公演を上演させていただいた。バレエくるみ割り人形はこどもから大人まで幅広く楽しめるバレエで、世界に愛されているのはご存知のとおり。
1幕の舞台は家庭の大広間で、大人とこどもがそれぞれがクリスマスパーティーを楽しんでいる様子が描かれている。今や日本も欧米化され、このような様子が繰り広げられても違和感はなく、むしろ先ほどまでロビーで話していたこどもたちが、いつのまにか小さなダンサーとなって舞台上を駆けまわっているのではと勘違いするほど、舞台と客席の境界線がわからなくなる錯覚を覚えるのだ。そんななか、この公演に向けて出演したバレエスクールのこどもたちの日々のリハーサルでとても興味深く映ったことがあった。こどもたちのまさに公演の主人公は我こそにありと言わんばかりの手を抜かず向上心を持ってのぞむ姿はとても印象深く、またそれが輝いてみえたのである。ひとつのことを達成させる上で大切なことは、そんな真面目に取り組んでいる子の姿勢の素敵さに周りや下級生の子たちが憧れることである。かつて少しズレたり、たまに夢中から外れたりすることがいわゆる”カッコいい”と映る時代もあり、それが魅力になったのかも知れないが、今やこの時代そんな考えはない。万一いまだにそんな姿が見える子がいたら教える側は一刻も早く気づかせてあげなければならない。
ここは東京・渋谷という中心地?のおかげか今回このリハーサルで見せてくれたこどもたちの姿こそが、この公演の成果であったように思えてならないのである。