2021年7月
今年も夏が来た。もともと舞踊家はインドアであまりアウトドアのことは気にならず、晴れても曇っても嵐になろうとも日々のレッスンやリハーサルでもあまり影響はないのだが、気分的には夏だと思うと暑いのは好きだし心も浮き立つ。かれこれスポーツクラブにも長く通っており、夏といえばプールで小学生の頃スイミングクラブに通っていたこともあって泳ぎは得意な方で今でも週2回は泳ぐ。同じ所属しているスポーツクラブならば東京でも大阪でも通い放題なので、時間があればトレーニングをしている。今こうして松山バレエ団に再び現役バレエダンサーとして踊らせていただいていることもあり、泳ぐことは筋肉やキネシスにもアイシング効果もあり、ダンサーにとっては大切なことだ。ただこれもインドア、室内プールなので季節にはあまり関係ないことなのだが。
相変わらず感染がおさまらず、われわれ舞台芸術を身に置くものにとって予定されている舞台本番が出来るかどうかやきもきする。7月は毎年大阪芸術大学ではかならず本番があり、昨年もこのコラムで触れたようにコロナ禍真っ只中で、本番前々日に大学内に感染者が出て一度中止に追い込まれながら、濃厚接触者に当たる者が出ず無事に上演できた経緯があった。しかし今年は何とか無事にバレエ「バヤデール宮殿の場」と「花のワルツ」を上演することができ、踊った舞踊コース2回生14名と3回生21名はプロのバレエ団同様コロナ禍だろうが毎日休みなく稽古、リハーサルをして臨んだだけに意義は大きかった。
1年前の今頃はもう世の中も日常に戻っていると誰もが思っていたと思うが未だにウイルス感染が収まらず、公演鑑賞も思うように観に行けない。7月に観れたのは松山バレエ団公演、双子の兄の堀内元バレエフューチャー2021、東京新聞社が主催するモダンダンス・現代舞踊家による現代舞踊展の3本のみだった。しかしながらいずれもコロナ禍を吹き飛ばす熱演の数々で素晴らしかった。あとは趣味であるフランス映画鑑賞をシネスイッチ銀座で公開された「ベル・エポックでもう1度」を。フランス映画はやはりすてきで今回のテーマはタイムトラベルサービスで半SF作品。冴えない中年男性がタイムトラベルで過去が甦り、運命の女性と出会い見違えるほどイキイキしていくというもの。前回春先に観たフランス映画は「マーメイド イン パリ」もイケテナイ男性と出会うはずのない人魚のおとぎ恋物語。どちらもどっぷり堪能しました。だからフランス映画はたまらない。えっ?主人公と自分をダブらせてんじゃないのって?さぁどうでしょうか…。でもみなさんだってそうでしょ、舞台芸術鑑賞はだからすばらしいのです。