2023年1月
松山バレエ団創立75周年新春公演「ロミオとジュリエット」オールスタークライマックスフェスティバル・神奈川県民ホールが終演した。この日の本番のために昨年9月頃からバレエ団でレッスン、リハーサルを行い、10月と11月と回数を重ね、12月下旬からはほぼ毎日通い稽古に明け暮れた。松山バレエ団のロミオとジュリエットに出演したのは今回で2回目で、1年半前に渋谷LINE CUBE SHIBUYAで上演されて出演して以来で今回もロミオ役のひとりとして出演させていただいた。
20年前にもロミオとジュリエット全幕に出演したことがあり、その時のジュリエット役は長くモスクワ・ロシアバレエ団で日本人プリンシパルダンサーとして活躍された千野真沙美さんで、現在は息子さん千野円句君がボリショイバレエ団のスターダンサーと聞く。振付は師である横井茂先生だった。その時忘れられないことは横井先生が「充、私のロミジュリの初演は森下洋子ちゃんと清水哲太郎君が踊ってくれたんだよ」と話してくれた言葉。今こうして清水哲太郎先生の薫陶を受け、森下洋子先生の相手役を務めさせていただいたことが何という縁なのだろうかと思わずにいられなかった。今頃天国にいる先生も微笑んでいるかもしれない。
松山バレエ団の稽古は朝から夜までハードであったが、この素晴らしき瞬間を迎えるときめきもあって今回も心身充実したものであった。松山バレエ団の出演はこの3年間コロナ禍ながら5回目となったが清水先生はいつも温かくも厳しい稽古をつけて下さり、身体論から精神論に至るまでこの私に躾けて下さった。バレエ団のスタッフ、出演者仲間の方々もバックアップを惜しまずだからこそこの大役を踊れ、感謝の念にたえない。こうして新春にかけがえのない思い出をいただいた。ひとつ、舞台は厳しく辛いものだがやはりそれを乗り越えたあとのカーテンコールやレベランスは嬉しい。今回のカーテンコールの踊りでは尊敬する森下洋子先生をはじめ、先輩の鄭先生、同期のプリンシパルダンサーの山川晶子さん佐藤明美さんから後輩の男女若手ダンサーのなかにまじって円をつくりながら一緒にオッフェンバックの音楽を踊った瞬間は実に楽しかった。7名のジュリエットと5名のロミオがそれぞれ同じ衣裳をまといそれがまた愉快だったのだが、公演を見馴れた観客からは「やや?ひとり見慣れぬダンサーがいるぞ」ときっと思われていたのだろうなぁ。