2023年4月

 ようやくコロナ禍が明けようとしている。まさか収束されるまでに3年も要するとは当時は思わなかった。思い起こせば3年前松山バレエ団の新白鳥の湖公演に向けてほぼ毎日バレエ団のレッスンとリハーサルに明け暮れていた日々が公演中止となり、街も鎮まりかえり、大学も新学期が延期され、ただ時だけが過ぎていったあの日、もう人生のなかで繰り返して欲しくない出来事である。しかし自分にとってバレエを手放すことなくずっと今日まで続けてこれたのは幸せで関わるすべての人たちに感謝の念は忘れてはならないことを肝に命じて過ごす今日この頃である。
 1月終わりに玉川大学芸術学部パフォーミングアーツ学科堀内バレエゼミの最終授業発表に続き、2月下旬には大阪芸術大学卒業舞踊公演を今年も無事に終えることが出来た。「ラプソディ・イン・ブルー」「アルルの女」「ウエスタン・シンフォニー」「フォーシーズンス」といった自作バレエ作品をラインナップに2日間にわたり大阪芸術大学芸術劇場で上演した。
 ふたつの大学で今年卒業となった22名の女子学生バレエダンサーの姿が脳裏から離れられないでいる。3月に卒業式を終え今頃どうしているのだろうかと思い巡らしてしまう。残念ながら社会、舞踊、バレエの世界は無情なところがほとんど。私と舞踊大学で過ごしたバレエ漬けの4年間を胸に頑張ってほしいと切に願っている。

 いよいよ11年間続けた堀内充バレエコレクション公演も5月にファイナルを迎えようとしている。まわりは今年で区切りとなることに驚きを隠せない方々が多く、心苦しくもありまたそんな想いを寄せてくださることに感謝の気持ちも抱き複雑な心境が続く。3月から本格的にリハーサルを始動させて大学新年度開始をはさみまもなく2ヶ月が過ぎようとしている。今回ラスト公演に自らが出演したいと申し出てくれた若者たちに特別な想いを持つ。自分から「出たい!」と意志を表すことはなかなか出来ないことだが恥ずかしいことではなく、むしろ称賛されるものである。小生もこんな今でもやりたいことを自ら打ち明ける素晴らしさを実感している。そんな想いから今回は出演者29名全員に男女お揃いプロダクションレオタード&タイツをYUMIKOの協力を得てプレゼントさせてもらった。「心をひとつに」なんて今どき恥ずかしいなんて思わず、「心身ひとつ!」となり公演最後まで全員がトップランナーとして走り抜ける覚悟で臨む所存です。

 愛するシェイクスピア「真夏の夜の夢」のラストシーンで妖精グッドフェローの一句を……
『今宵はこれにておやすみなさいまし。ご贔屓のおしるしにお手を拝借。いずれパックが舞台でお礼をいたします』
・・・妖精パックことグッドフェローはアメリカ、日本のバレエ団で演じた私の当たり役であったことは言うまでもありません。
 皆さまのお越しを心からお待ち申し上げます。

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