2023年7月
5月公演ではさまざまな方々からの励ましやご声援、お力添えをいただいた。本番にかけつけていただいたことはもっともうれしいことだが、やはり大きなバレエ団公演とは違い、1日しか公演本番がないこともあり、かけつけられない方々も多くそれは百も承知している。観に行けないけれどエールを送ってくださることも多く、そんな方々への感謝も忘れない。
親友と呼べる数少ないひとりである熊川哲也Kバレエカンパニー・ディレクターからも公演間際に連絡をもらい、公演直前の数日前東京・西麻布で食事を共にした。毎年彼のカンパニー公演シーズンと重なってしまうことが多いのだが、多忙にも関わらずいつも観にかけつけてくれる。世界でもっとも多忙なクラシックバレエにおけるプロフェッショナルなのにかけつける。やはり一流は行動も素晴らしい。若かった頃、毎年夏にあった青山劇場バレエフェスティバルや札幌で行われたドリーム・オブ・ヤングダンサーズ公演に共に出演し、リハーサルでも本番直前でも食事している時でもいつもバレエ談義で熱く語り合っていた仲で、ロイヤルバレエ団を経て世界的なスターダムにのしあがっても途切れることなく、もう30年ぐらいずっと親交を続けさせてもらっている。今は若い頃と違い、彼は経営者としてビジネス界、また社交界でも幅広く活躍しているのに会う時は昔と変わらぬスタンスで話を合わせてくれる。この時の食事でも東京都知事に表敬訪問した時の話やローザンヌ国際バレエコンクールで審査員をした様子を話したと思ったら、「去年の充ちゃんの踊りさ、」とか「昔充ちゃんの部屋に泊まったようなぁ」と話がポンポンと多岐に渡って尽きない。こちらも彼のカンパニー創設以来20年にわたりほとんどの公演を観させてもらっているのでリアルタイムの話題も合い、最近久しぶりに彼自身が出演を果たしたクレオパトラも東京、大阪公演のどちらも観たのだが「全公演完売だったのにそんなことする友人はあんただけだ」と笑い飛ばしてくれたりもする。食事中では今回観にいけなくて申し訳ないと言い続けてくれたが、彼の会心作であるバレエ界話題の「蝶々夫人」再演を間近に控えた時のことである。彼の寛容さには感謝しかなく、人格の素晴らしさは益々進化するばかりである。今秋よりカンパニーはKバレエTOKYOとなり活動を新たにするが益々の発展を一バレエ人としても応援を続けたい。