2024年7月その2
国内、特に首都圏におけるバレエ公演は今や季節を問わず実に多くのバレエ団、企画プロデュースによって上演されており、その数は測ったことはないが海外の国々を上回っているのはたしかで世界稀にみる今やバレエ愛好国である。よく言われるのが国技である柔道で、今世界でもっとも柔道を愛している国はフランスで柔道人口は日本の4倍と聞きオリンピックでも常勝国となったが、バレエも同じでフランスが発祥の国でありながら今やバレエ人口のトップは日本でその数はやはり4倍だそう。
若かった頃、国際バレエコンクールに入賞しテレビやラジオに多く出演して紹介されたが、当時はまだバレエに触れることが珍しくいつも「バレエは男性もやるのですね」とか「タイツは抵抗ありませんでしたか」とインタビューアーが冷ややかな質問をするばかりで、今思い出しても悔しい思いがこみあげてくる。ただ少数だがバレエを愛している著名人もおられ、作家の遠藤周作さんや、東京都知事でおられた青島幸男さんの長女の青島美幸さん、タレントの飯星景子さんなどマスコミで知り合う機会に恵まれ、その方々はバレエの造詣が深く温かく接していただいた。またバレエ公演というものに対してバレエのノウハウを知る大切な手段は評論だが、私がプロデュースした公演で当時称賛いただいたものもあったが中傷するような評論もよく書かれた。15年20年前のことなので今は気にならないが、それでも若かったこともあり当時はずいぶんと落ち込んだものであった。
昨年秋から今年上半期にかけて鑑賞したバレエ公演をざっと上げると
松山バレエ団「くるみ割り人形」「新白鳥の湖」「ジゼルとアルブレヒト」
KーバレエTOKYO「眠れる森の美女」「カルミナ・ブラーナ」
東京バレエ団「眠れる森の美女」「かぐや姫」
バレエ・シャンブルウエスト「眠れる森の美女」
京都バレエ団「くるみ割り人形」
大阪芸術大学「卒業舞踊公演」
新国立劇場バレエ研修所「エトワールへの道程2024」
といったところで最近は自分が観たいものを選んでかけつけている。
海外バレエ団も相変わらず多く上演されているが、以前に日本芸術文化振興基金の助成事業委員だった時、国内公演よりも海外からの公演に多く助成金を出していることに疑問を感じて以来足が遠のいてしまい、生粋の日本バレエをずっと応援している。文化人のひとりとして文化事業と海外興行は切り離すべきだと主張したい。
また国内ミュージカルでもバレエシーンがありそれを観るのも楽しみで
劇団四季「オペラ座の怪人」「ライオンキング」
宝塚歌劇団月組公演「Eternal voice 消え残る想い」「グランドタカラヅカ110」
帝国劇場ミュージカル「ムーラン・ルージュ!」
も鑑賞させていただいた。交友ある舞踊家の御息女や大学の教え子といった面々が出演してうれしい限りである。
みなさまもこの夏劇場に足を運び、バレエ界やミュージカル界を応援して下さいませ。