2024年11月

   この11月大阪芸術大学舞踊学内公演でドビュッシー作曲「小組曲」を振付し上演した。同名の管弦楽曲をバレエ化したものだか2019年のバレエコレクション公演(めぐろパーシモンホール)で上演した振付はほぼそのままのかたちで舞踊学生2回生女性10名と4回生男性3名が出演してくれた。作品はフランスの印象派といわれたモネ、ルノワール、シスレーといった自然の描写、時の移ろい、淡い光の変化などを彩った絵画をモチーフに、同時代を生きた印象主義の音楽家クロード・ドビュッシーによるバレエ音楽「小組曲」の調べに乗り、パリのセーヌ川の辺りや公園をイメージし瑞々しく戯れる姿を描いた。もともとは父堀内完が今から35年以上も前に私、姉と兄に振付てくれたバレエ作品でもあった。父の主宰したユニークバレエシアター公演で初演し、その後TBSの人気音楽番組「オーケストラがやってきた」で“期待の双子星 堀内元・堀内充バレエ界デビュー”と銘打った特番を組んでいただき、その出演したときに上演させていただいた。テレビ番組なので司会者がおり、当時お茶の間で人気指揮者の山本直純氏とアイドルのアグネス・チャンさんのふたりが務めていた。そしてこの番組に出演したことでブレイク?してその後NHKの音楽番組や朝の情報番組「ズームイン朝」ラジオ番組、週刊文春、週刊新潮、週刊現代、月刊ポパイ、オリーブ、隔週刊ぴあなど次々と取材が舞い込んでマスコミに出る機会が一気に増えた。今は巷に知られる手段はSNSが主流だが、当時はそんなものどころか携帯電話すらない時代、つくづくテレビの力を思い知らされた。
 そんな時、この9月に松山バレエ団「ジゼルとアルブレヒト」公演がありオーケストラ演奏された時の指揮者がなんと故山本直純先生のご子息の山本祐ノ介氏であった。ちょうど来年2月松山バレエ団鎌倉公演に出演する予定でそのリハーサルで小生もバレエ団に通っていたこともあり、バレエ団を通してかつてお父様の話をさせていただきご挨拶させていただいた。目の前で一礼したとき、風貌にどこか面影が似ていて懐かしかったのだが、祐ノ介さんは「当時父は色々とご迷惑をおかけしたのではないでしょうか」とユーモアを交えてお声がけくださった。お互い偉大な芸術家の父親を持つ似た者二世同士、すてきな出会いの場となった。
 話しを戻すが今回の上演をより実のあるものにするべく、リハーサルしている期間にちょうどあべのハルカス美術館で「印象派モネからアメリカへ」展覧会が開催されていたので出演する舞踊学生10名と大学授業後に足を運び鑑賞した。その催しは作品研究にうってつけで、その日はレッスン、リハーサル、その美術館鑑賞と続き、最後に隣接されたレストランで感想を語り合いながら夕食も共にし、有意義な1日となった。このおかげで”バレエ「小組曲」2024年バージョン”も成功裡に終わったことはいうまでもない。

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