= 公演後記 =
「Ballet Collection 2019」のカーテンコールの幕が降り今年も無事に終えた。今年は新元号が発表された日や平成最後の日がいずれもこの公演のリハーサルがあり、そんな節目に愛する出演ダンサーたちとともにバレエをしながら過ごすことが出来たことがよい思い出となった。それが助長させたのかダンサー全員がひとつとなって本番まで突っ走ったのではないか。いちばん深く印象に残ったことは本番直前のゲネプロが終わったあとのこと。フィナーレのリハーサルが終わり、さてみんな楽屋に戻ると思いきや何とほぼ全員が舞台上に残り、ダメ出しに余念がないのだ。この光景には驚かされた。若い頃の自分の自慢に「おれはみんなと違って本番直前まで努力するんだ!」と最後まで舞台に残るという気概があったのだが、この時はまさにみんながその気概そのままに残り、踊り続けていたのだ。残れと言った試しもないし、あまりの驚きに何だか嬉しく照れくさくなってこの自分が一番始めにそそくさと舞台を後にしてしまうほどだった。この公演は全て個人の振付作品であり、既成の古典作品はなくどれも概念にあてはまらないのだが、この定見のないものに対し、意欲が湧き達成しようと行動する瞬間に人間は恐ろしくエネルギーを発揮するもので、まさに芸術が発生するのだ。本公演ではダンサーたちがアーティストに変貌する瞬間をリハーサルで何度も目の当たりにすることが出来た。もちろん本番では彼女彼らたちは持てる力をすべて出せたことは言うまでもない。
そしてお越しいただいた約1000人の観客からも多くの拍手を頂きました。
観客の皆様、そして愛するアーティスト全員に感謝申し上げます。