2017年7月

 7月中旬に大阪フェスティバルホールで、音楽劇シアターピースと題してレナード・バーンスタイン音楽による「ミサ」を上演し、振付を担当させていただいた。演奏会の総合監督は高名な指揮者井上道義氏で、先生とは25年以上の長い親交があり、この公演を楽しみにしていた。舞台はオペラながらミュージカル形式で芝居、歌、舞踊で構成され、オーケストラ、合唱、歌手、バレエダンサー総勢220名を超える大きなプロジェクトで大阪国際フェスティバルの一環で大阪フィルハーモニー交響楽団と朝日新聞文化財団の主催で行われた。
ベトナム戦争当時のアメリカを背景に社会や宗教に対する絶望、あるいは平和への祈りが込められたものを日本国内の抱える不安や希望と重ね合わる演出にさせたもので、メディアや報道関係でも話題となり、本番2日間とも満席となる盛況ぶりであった。
2年前「充、また一緒にやろうよ」と電話をかけて下さり、以来彼の自宅で長時間に渡り打ち合わせをしたり、大阪芸術大学に訪ねて下さったり、また私のバレエ公演にまで足を運んでくれたり、つねに熱い気持ちに溢れ、リハーサルもとても充実したものであった。5年前から堀内充バレエプロジェクト公演を展開しているが、”My Dancers”9名を初めて大阪へ引率できたことが嬉しく、さらに1年前に井上道義先生が指揮された大阪フィルハーモニー交響楽団の演奏会へ授業の続きで教え子の大学生を引率して鑑賞したのだが、終演後楽屋に訪ね面会した時に、我々の勉強心に感激されたのがきっかけで、大阪芸大舞踊生6名まで出演させてもらい、その温かい恩情に一流の芸術家の姿をみる思いであった。公演ではバレエシーンは彼がアイデアを出し、それに合わせて振付していくかたちでおこなわれ、私やダンサーたちは彼の音楽、芸術観そしてユーモア溢れる人間性に触れ、多くを学ばせてもらい感謝の念に耐えなかった。
 前回先生とご一緒させてもらったのが7年ほど前で、札幌交響楽団の演奏会にやはり声をかけてくれて、彼の指揮する舞台の前で踊らせてもらい、終演後楽団員が多くいるなか、彼らとは行動は別に私とススキノへ繰り出し、酒席やラーメン屋で楽しく杯を挙げた兄貴肌が忘れられない思い出がある。私も今はいつも公演後ダンサーや教え子たちと繰り出すことが好きなのだが、それも彼の姿が影響しているのかな。

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