2017年12月

 すっかり寒くなり師走を感じさせる。街でも行き交うひとたちのファッションもそれぞれ厚手だったり重ねがさね着込んだり、思いおもいのマフラーを巻いたり見ていても楽しませてくれる。JAPANは流行があり若者たちもお洒落れな着こなしでいいものだ。こちらもかつて高校生の頃(玉川学園高等部)、話題のお洒落なバレエ少年だったこともあって(??)ananとかオリーブ、流行通信といった雑誌の取材をよく受けて、クラスの女子たちが教室で「充、見たよ!ほら」って買ってきた雑誌を見せびらかせてくれたものだった。でもさすがファッション雑誌で取材側のひとたちもとてもお洒落で、なかでもオリーブの編集長が30代半ばぐらいの男性だったが、たしかあの時も寒い日で自分の前に現れた姿がサーファー風でヨットパーカーにジージャン姿がすごくお洒落に感じ「カッコいいっ!」と思わず思ってしまって、取材中でも大人のセンスのよさに魅了された当時のことが忘れられない。

 バレエ「くるみ割り人形」京都バレエ団公演を無事に終えることができた。今回の公演の特色はこのバレエに登場する人物とほぼ年齢的にも同じ等身大の専門学校生ダンサーが踊ることが何よりも本物感があり、観る側も身近に作品に入り込めた気がする。主人公のドロッセルマイヤーを演じた山本隆之君も好演技を披露してくれ、私の演出意図をしっかり汲み取り、作品の核となってくれた。ゲストダンサーの新国立劇場バレエ団のプリンシパル福岡雄大君、同じく奥村康介君、バレエマスターの陳秀介君をはじめ、京都バレエ団団員、バレエ学校生徒まで総勢80名近いダンサーが総力を挙げて上演してくれたことに感謝の気持ちで一杯であった。

 同じ時期に上演日程が重なってしまったが、バレエ「カルーセル/回転木馬」も無事に終えることが出来た。玉川大学にある演劇スタジオという150人程が入る観客席を持つホールで毎年舞踊公演が行われるが、今年も全6回ほぼ満席のなかで本番が出来たという報告を受け、こちらも嬉しかった。

 大阪芸術大学舞踊コースでも年末に学内公演がおこなわれた。2回生14名によるバレエ2作品モダンダンス1作品のトリプルビル(3作品の意でバレエ公演の基本的な公演スタイル)を上演した。なかでも今年もラ・バヤデール第3幕「影の王国」を改訂上演したが、舞台装置美術を大学美術コース2回生の若干二十歳の学生が手掛けたこと特筆したい。毎年この版の美術は学生が手掛け、今年本格的な設備を誇る大学芸術劇場で影の王国を上演するようになって今回で8回目となったが、つまりこれまでに大学美術学生による3作品のデザインが創られたのである。美術学生にとってもまたとない良い経験となっているのは言うまでもない。なおこの舞台美術コース主任は大田創教授で、日本を代表する舞台美術家で、これまでに数々の演劇、オペラ、ミュージカル、舞踊の美術デザインを手掛け、私とも大学外で親交が深く、2年前にロミオとジュリエット全幕を在阪のY.Sバレエカンパニーに演出・振付を手がけたが、大掛かりな舞台装置デザインを彼に依頼し、素敵な装置をつくっていただいた。大学教授として勤めているといっても、ここは舞台芸術家の集まりで、舞踊界と何も変わりはない。そういえば少し前になるが、かつてミュージカル劇「ザ・スヌーピー☆ミュージカル」でスヌーピー役とウッドストック役で絶妙の?コンビを組んだ俳優ダンサーの大澄賢也も客員教授として大学に招かれ、そこで久しぶりに再会し、ふたりで抱き合って喜んだ日が忘れられない。舞台芸術という世界は現場であれ、教育現場であれ素晴らしき仲間で溢れているのだ。

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