2021年9月(1)

 8月28日に松山バレエ団公演「ロミオとジュリエット」名場面集ガラ・コンサートにロミオ役のひとりとして出演させていただいた。この公演は5月に渋谷オーチャードホールで全幕公演が予定されていながら緊急事態宣言発令のために公演中止となり、その代替として5月ではジュリエット役を森下洋子先生おひとりで務めていたのを7名に分け、ロミオ役も4名に配役し、新たに企画され渋谷公会堂で上演されたもので、1幕幕開きから舞踏会シーンでジュリエットと出会い、最初のパドドゥまでの場面を踊らせていただいた。今から30年以上前に清水哲太郎先生と森下洋子先生が松山バレエ団で主演された公演を観て強く感銘を受け、今でも場面場面はっきりと記憶に残っている。素晴らしい踊りと演出振付に溢れ、亡き両親と三人で観に行き、帰ったあとも夜が更けるまで親子で語り合った思い出があっただけに、まさか部分的とはいえこうして今踊ることになるとは感謝しかなかった。本番はジュリエット役の森下洋子先生を相手役に精一杯踊らせていただいたが、清水哲太郎先生の演出は素晴らしく、なかでもふたりの出会いのファーストサイト、プロコフィエフの音楽が盛り上がる中約1分間見つめ合うところのシーンが実に素敵なのだが、その場面を演じさせていただいたことが何よりも幸せであった。公演ではバレエ団のプリマバレリーナ山川晶子さんや佐藤明美さんをはじめ女性トップダンサーが次々とジュリエット役を踊り、各場面それぞれがバレエ団若手男性舞踊手とともに素晴らしい踊りを示していた。観にいらした方々がバレエ団のオールスターがリレーのようにバトンを渡しながら、また主人公だけでなく、ダンサーそれぞれがさまざまな役を演じバレエ団総力を挙げた姿に感銘を受けたと感想をいただいた。そのひとりとして踊ることが出来たのも清水哲太郎先生、松山バレエ団スタッフ、団員の皆さんに温かく包まれサポートしていただいたからこそであった。
公演前に亡くなられた松山樹子先生や両親も天国で見守ってくれてたらうれしいな。

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